昨日の夜は、ちょっとしたエキサイティングな夜だった。
フランス人の青年と熱いトークをかましたのだ。
クリストフという名の青年は、身長は180cm以上ありアラン・ドロン顔負けの伊達男。初対面の時から陽気なノリで、鼻歌歌いながら、自由そのもの(笑)。
正直、俺の苦手なタイプだ、というのが第一印象だった。
昨晩宿で、独りインターネットをやっているとクリストフが帰ってきた。もちろん鼻歌交じりでね(笑)。
『今日はどうだった?』と話しかけてくる。ほら来た(笑)。
『チャイナタウンに行って、それからオランダ広場で教会や砦や博物館に行ったよ。グレイト!!あとは、バスターミナルに行って明日のKL行きのバスチケットを買ってきたんだ。君は?』
『似たようなものさ。チャイナタウンに、オランダ広場、博物館もね。あとは、偶然サッカーの親善試合を見れたよ。』
『フランスではサッカーはとても人気があるでしょう?ジダンにアンリに、トレゼゲに・・・。』
だいたい外国人との最初の会話はスポーツが多い。お互いに話題が出しやすいからだ。
今回もそうだった。サッカーから始まり、中田英寿、中村俊輔のこと、それからお互いの国ではどんなスポーツが人気か、君は何のスポーツをしていたか、柔道、テニス、ラグビー・・・。
そして内容は徐々に個人的な部分に入っていく。
彼はフランス南部のトゥールーズという所に住んでいる大学生で、物質学?(英語でmateriologyとか言っていた)を専攻しているそうだ。今回は彼女がエアバス社というヨーロッパの航空会社に勤めていて、シンガポールで働いているので、会いに来がてら旅行しているそうだ。
こちらも自己紹介をする。やはり医者には見えないらしく、オーバーリアクションで返される(笑)。
ここで俺は唐突に
『上手な英語だけど、フランスではみんなやっぱり英語を勉強するの?』
と質問をした。
『そうだよ。どうして?』
と彼。
『昔、フランスに旅行に行った友達から聞いたけど、フランスで人に英語で質問するとフランス語で返されるっていうからさ。』
ちょっと嫌味に聞こえてしまうかと思ったが、率直に言ってみた。
すると、彼は急に真顔になり、
『何故なら、私達は私達の国・言語に誇りを持っているからさ!!』
そして、
『俺はアメリカ人、イギリス人、オーストラリア人がどこに行っても英語しか話さないのが気に入らないんだ。どこにいっても、英語は世界の共通語だといわんばかりに、英語しか話さないだろ。その土地その土地の言葉でコミュニケーションをとろうと“努力”しないだろう。彼らは我が物顔で振舞って、“努力”しない。例えば、マレーシアだったら有難うは“テリ・マカシ”と言うでしょ?こんにちはは・・・でと、俺は少しでも現地の言葉で話そうと“努力”するんだ。だから、フランスに来たアメリカ人には、あえてフランス語で話す人もいるんだよ。(笑)』
俺は彼の、
『Because we are proud of our country and our language!!』
という言葉にとても感動した。堂々と自国に誇りを持っていると言い切る。
俺も熱くなり、
『Me too!!I'm proud of my country and Japanese language.』
と言い、握手を求めた(笑)。彼も笑顔で答えてくれた。
彼と少し距離が縮まった気がした。
俺は、日本人は外人と接する時どこか、遠慮し過ぎるのではないかと前から思っていた。時には俺自身も。日本人の性質として、遠慮深いというのはあるだろう。それは素晴らしいことだと思う。だが、too muchなのだ。
もちろん英語に自信が無いのも原因の1つだろうけど、どこかで劣等感もあるからではないだろうか。
この前日本で紹介されていたオーストラリアの番組に俺はとても屈辱感を感じた。
オーストラリアは反捕鯨を掲げる国だ。対して日本は捕鯨調査船を有し、太平洋にて調査の為に時には捕鯨をしている。
そんな日本の捕鯨船が、シーシェパードという反捕鯨団体から海洋上で妨害行為を受けた。もちろん捕鯨の良し悪しに関してはそれぞれの立場で意見があるだろうが、その団体の行動は下品そのものだった。そのやり方は世界的に非難を受けているそうだが、その団体はオーストラリアでは英雄だそうだ。
まぁいい。そこまでは、まだ許せた。
だが次にオーストラリアのテレビ番組は、駐オーストラリア日本大使館に行き、日本大使に向かってこう言った。
『あなた達は鯨を調査の為と言って、捕獲してますが、私達もあなた達日本人をより理解する為に、まずあなたを殺していいですか?そうしたら少しはあなた達を理解できるでしょうから。』
『何を言っているんだ。君達は失礼だ。礼に反する。』
そう言いながら無視して大使館に入っていく大使に、更に嫌味を投げかける。
今度はオーストラリアに観光に来ている日本人に向かって、
『今からあなた達を殺して、研究させて下さい。』
と言って玩具の銃でいきなり撃っている。
撃たれた日本人というと、大喜び・・・。
ーお前ら日本人をなめすぎだろう。日本人を馬鹿にするなー
番組を通して、オーストラリア人に少なからず不快感を持った。
もちろん良識あるオーストラリア人もたくさんいるだろうけど、ああいった輩がいるのも事実なんだろう。
なにせ、向こうのテレビ番組なのだから。
そして、意味がわからずとも、何故いきなり撃たれてヘラヘラ笑っているんだ。
と日本の観光客にも怒りが及んでしまった。
もし俺だったら、まず何故そのような事をするか聞くと思う。
だっていきなり、玩具とはいえ銃で撃たれるんだぜ。
ざけんな!!!!!!!
そんな番組を出発前に見たこともあり、そういったアイデンティティーに関する部分には、敏感なのだろう。
だからこそ、クリストフというフランス人に対して、はっきりと自分の国に対する愛国心とプライドを言えた自分に嬉しかったのかもしれない。
『俺もそう思う。君は確かに、この宿のボスに対してもマレー語でよく話しかけているよね。素晴らしいことだと思うよ。俺たちは相手の国・言語・文化etcに対して、リスペクトし合うことがとても大切だと思う。それは比較してはいけない。その国にとって外国人である以上、その国の文化や言語を評価したり、比較して優越感・劣等感を抱くのではなく、極力リスペクトし合う様に“努力”すべきなんだ。』
彼は頷き聞き返す。
『では何故、日本人はあんなに外国人に対して腰が低いんだと思う?』
『これはとても難しい問題だけど、第一に俺たちは島国に住んでいて、もともと外国人と接することに慣れていないことがあると思う。ヨーロッパでは国と国が密に並んでいるだろう??それは大きな違いだよ。さらに我々は“遠慮”を美徳とする民族なんだ。自己主張より、“遠慮”や“我慢”を大切にしているんだ。
あとは、第二次世界大戦によって日本人の多くは、誇りや・アイデンティティまでも失ってしまったのもあると思う。歴代の首相は常に謝罪の連続だった(笑)。
でも嬉しいことに最近国内では徐々にだけど、愛国心やら誇りが表面に出てきていると感じるんだ。』
『なるほど、それは素晴らしいことだよ。では日本は戦前の日本に戻りつつある?』
『まさか。戦争はいかなる理由であっても良くないと思う。俺が言いたいのは、過去にばかり目を向けて謝罪と賠償だけでなく、未来をもっと見るべきだということさ。過去を教訓に建設的に未来を見る。』
俺は、
『Look the future』という言葉を繰り返した。
『“Look the future”。ナイスな言葉だ。我々フランスだって、ドイツだって、スペインだって、過去に同じ様な過ちをしている。過去は忘れてはいけない。でも、“look the future”・・・。
今日はとても素晴らしい時間を持てた。有難う、tetsu。君のe-mailアドレスを教えて欲しいんだけど。是非フランスに来る時は連絡頂戴。通訳するよ(笑)。』
夜中に熱い握手を交わした。恐らく彼は、一人の日本人に対して、尊敬の念を持ってくれたのではないだろうか。
日本人として、恥じることの無い様、様々な知識を持たなければと学んだ有意義なマラッカの夜だった。
PS:もちろんここに書いた以外の事もたくさん話しました。女性の口説き方もディスカッションし合ったよ。ここに書いたのはごく一部です。そんなに過激な2人じゃないので、誤解無い様お願いします。